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つい数年前までこの言い回しを知らなかった、ぼくではあるが。
初めて聞いたときは、落ち葉でも拾ってくるのかと思ったね。
知ってみると、その乙な言い回しに俄然言ってみたくなる、もとい行ってみたくなるやつ。
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高知県いの町と愛媛の県境に瓶ヶ森(かめがもり)というとこがありまして。そこに林道が走ってまして。別名UFOラインなどと呼ばれています。
仕事で夕方日暮れ前にそこまで行った。
もうだいぶ紅葉してて、すげーきれい。でも、仕事だと、なーんか違うのよね。着いて30分で日が暮れたし。
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よく「何事もなかった」という言い方をするけれど「何事」ってなんだろうか。
そもそも「何事」って言葉を口にすることが、ほとんどない気がするのだ。
思い浮かべてみるに、ドラマとかで偉い人が、
「いったい何事だっ!」
と叫んだり、
時代劇で討ち入りにあった殿様が、
「何事じゃ」
とお付きの者に聞いたり。
それらの事例を参照するとすれば、なんとなく、偉い人の耳にまで届く重大事案が発生したときに、
「何事」
は生じるのではないか。
だから「何事もなかった」とは、正確に表記するのなら、
「『何事』もなかった」
なのだ。たとえ大なり小なり問題が発生したとしても、上司の耳に入りさえしなければ、上司による「何事」は発動しない。
「何事もなかった」
とはつまり、上司による「何事」を発生させなかった、そのことを喜ぶ言葉なのだ。
先導役として行ったのに道知らなくて、2度も入り口間違えたり。
瓶ヶ森で車1台分の幅しかない、切り立った斜面の道を、紅葉狩り帰りの車がびゅんびゅん帰っていく中、逆行したり。
「いいポイントを見つけたら車停めて写真を取りたい」という、仕事相手の車を先に行かせたら、あっという間にちぎられたり。
帰りに真っ暗になってしまって、死ぬ思いで帰ってきたり。
そんなことは報告する必要のあることだろうか。いや、ない。
明日ぼくは晴れやかな顔で言うだろう。
「何事もありませんでした」
と。
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そんなぼくでも、
「何事だ」
と言いたくなるような話。仕事のアドレスにメールが入っていた。
いわく、
「あんたの彼女どうにかせえ」
「お前もお前だ」
「口ばっかうまくて、誰にでも好きとか言って、うちのことも好きとか言ってるらしいけど、もう知るか。死ね」
「二酸化炭素が増える」
「今まであった男でダントツに最低や」
「言いたいことあるならメールじゃなくて、電話してこい(携帯番号)」
とばりばりの土佐弁で送ってきたわけです。
ってどうなのさ。
あたくし、ここんとこそのような方とのお付き合いは生じていないはずですが。
だが、あれだ。
激烈な文章で罵倒されると、
「ひょっとしてぼくが何かしただろうか」
「覚えていないが、そんな子がいたかもしれない」
「ひょっとして条件は合わないがあの子のことかもしれない」
とか、一瞬思いそうになるぼくは、きっと逮捕されたらなんでも自白しそうだ。
あるいは、ぼくを騙ったヤツでも出没してるのか、とか、ひょっとして前任者の悪行か、とか、いやいまのうちの職場の誰かか、とか。頭の中でいろいろな悪い想像が膨らんだ。
そしてしばらくして、「あでも、高知で出回ってるスパムとかかも。開いちゃまずかったか」とか思って、別の意味で怖くなって、ダメ元でメールアドレスを検索してみたら。
出ちゃったのだ。
某私立女子中の生徒のブログが。
どうもですね、その子はこの間、高知で撮った映画のエキストラに参加したか、参加しようとした子じゃないかと。思われます。ブログにもそんな話が出てまして。
で、どうもブログの内容から察するに、内容嘘のいたずらメールとかじゃなくて、ほんとにその子に起きてることのようで。
となると、残る可能性は。
・送り先を間違えた。
・その男に送ろうとしたけど、思いとどまった。でも、はけ口がなくて、たまたま知ってた(しかもたぶんエキストラ抽選で落としたりされた)メールアドレスに送りつけた。
・その最低男はうちの職場にいて、腹いせに送った。
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最後の1個じゃないといいですね。
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